「坂口君」
本日は、坂道発進だ。
坂口君のクルマは坂道でピタリと止まっている。
クルマは動かない。
中で教官が「はい、ハンクラして。(抑揚ナシ)」と言っている。
坂口君はクルマのことなんてなにもわかっていない。が、いつだって一生懸命だ。
坂口君は「ハンクラ」をした。
・・・ファン。・・・ふぁんふぁん。
「…お前、何をやってるんや?」
ふぁん。
坂口君は、ハンクラを、半分クラクションだと思っていた。
ふぁん。ふぁん。。。
坂口君は、クラクションの大きさがまだ半分になってないと思い、
音を確かめながら何度も続けた。
ビルの上からみんな不思議に大笑いしながらその絵づらを眺めていた。